■CMOS・IC 4000シリーズ

RCAがオリジナルのICで型番が4000番第で付けられているため、シリーズ名になっています。オリジナルは見る事ができませんが、東芝やNEC、日立、モトローラ等の半導体各社が同一型番のIC(セカンドソース)を供給していました。過去形になっているのは、すでに多くのメーカが撤退したためで、どちらかと言うと過去の製品です。

しかし電子工作に使用するには丁度良い機能のICです。
デジタル用ICですから、インバータ、ゲート、カウンタ等のラインナップがあります。
特徴は電源電圧をが3V〜16V程度まで、任意に選べる。入力インピーダンスが高い。低い周波数で使う場合は小消費電力。入力変化が無ければ、電源電流がほぼゼロ。入力のノイズマージンが高く、対称的。

一方、短所として、ゆっくり変化する信号を入力すると、大きな電源電流が流れる。出力のドライブ能力が小さい。静電気に弱い。ラッチアップと呼ばれる現象を起こすと破壊される場合がある。


各社の型番:これらのICは全て同じ物を表します。TC4001、μPC4001、HD4001、MC14001。順に東芝、NEC、日立、モトローラ。
RCAのシリーズにモトローラが追加した14500番台のICも各社で製作していました。この型番のICにはおもしろい機能の石があります。


左が基本となるインバータの原理図、右が入出力の関係を示すグラフです。
インバータでは入力電圧が低い場合は上部にあるPch・FETがONになって出力電圧はVDD付近にあります。入力を徐々に上昇させて行くと、PchのONが弱くなり始め、Nch・FETがONになり始めます。この状態がグラフでは出力が下がり始めた点に当たります。さらに入力が上昇して電源電圧の1/2になった点でPch、Nchが共に有る程度のON状態となり、出力も1/2になります。この状態がCMOS・ICで一番消費電力が大きくなる点です。さらに入力電圧が上昇するとやがてPchはOFF、NchはONになります。これは理想の話で、現実にはPchとNchの能力の違いで切り替え点が中央に来ませんがTTL等のバイポーラ系論理ICに比べて、素直な入出力特性になっています。

CMOS・ICの場合、入力電圧がVDDまたはVSSになっている場合、どちらかのFETが完全にOFFとなるため、電源電流が流れません。