■ドリフト
ドリフトとは直流を増幅するOPアンプの動作点がずれて偽の出力を生ずる現象です。
微小信号を直流レベルで増幅する必要がある場合、ドリフトは大きな問題となります。
ドリフトは温度変化で発生する場合と、製造からの年月で発生する経年変化があります。
OPアンプ単体で考えた場合、ドリフトの殆どはOPアンプの初段トランジスタの温度特性のばらつきで発生します。しかし、アンプ全体で考えた場合は周辺回路も含めた、全ての構成部品の温度特性が影響します。
高性能OPアンプは、この初段トランジスタの特性が揃った物を使用し、製造後に特性を合わせて出荷するICもありますが、どうしても高価になります。
高性能OPアンプの特性を生かすためには、周辺部品もそれなりの特性を持つ必要があります。
直流増幅器でのドリフトは、増幅した信号分とドリフトが区別ができないため、増幅結果に重大な影響を与えます。一方、直流分を含まない純粋な交流増幅では、ある程度のドリフトがあっても、ドリフト分は後でカットできます。