■コンパレータと大振幅動作とスルーレート

OPアンプにフィードバックを施さないで使用した場合は、高増幅率のおかげで、少しの差動入力の電圧差があると、出力が+電源か−電源に振りきってしまいます。フイードバックを少なくするか、行わないでOPアンプを使用すると正相入力と逆相入力の電圧比較を行う動作が行えます。
この様な動作をコンパレータと呼びます。コンパレータはそれ専用のICがありますが、4558を転用してもそれなりに動作します。
ここで4558を±15電源でコンパレータに使用しているとします。今、正相入力が逆相入力より高い電圧にあり、出力は+15V近くまで振り切っています。ここで正相入力が逆相入力より低い電圧に変化したとしますと出力電圧は+15V付近から−15V付近に急速に変化する事になります。この間の電圧変化は30Vになります。
ところがOPアンプの出力は一定速度以上の電圧変化が起きない様に構成されています。
この変化速度がスルーレートで1μSの間に変化出来る電圧で表し例えば2V/μSと表現します。先のコンパレ−タの例では2V/μSのOPアンプでは30V変化するのに15μS必要となります。

スルーレートはコンパレータ動作のOPアンプに限らず、通常のアンプでも高い周波数で出力振幅を大きく取る場合は考慮する必要があります。
周波数が決まれば、増幅率が計算できますが、あくまで小さな振幅での出力であり、スルーレートで制限される様な振幅では、先に出力が追いつかない事態が発生します。