■ハンダ付け用道具

ハンダ付けは、電子工作では避けて通れない作業です。
上達の秘訣は良い道具は当然として、良い道具=高価とは限りません。
最近の道具は安くても、品質は高くなっています。
ハンダ付けに必要な道具は、ハンダゴテとハンダです。



■ハンダゴテ

ハンダゴテは写真の様な電子工作用を選んでください。(写真はグッド:PX-238)
個人的な意見ですが、今までに多くのハンダゴテを使用して来ましたが、グッド(太洋電機産業)の「TQ−80」が一番使いやすいと感じました。このハンダゴテには容量切り替えの押しボタンが付いていて、通常は15Wですが、ボタンを押すと81Wになります。熱量が不足する様な場合にちょっと押すだけで、高容量になります。新規購入にはお勧めです。
(私は太洋電機産業の社員ではありません、念のため)
ハンダゴテは加熱するヒータと銅製のコテ先で作られています。ヒータは一般にAC100Vを利用しますが、車用のDC12Vやコードレスのガス式もあります。最近はあまり見かけませんが、板金用のごついタイプもあります。

電子工作用は、比較的小さなワット数のヒータが使用されており、温度制御なしタイプで30W程度、制御付きで30W〜80W程度になっています。
ヒータの種類はニクロム線を使用したタイプとセラミックヒータを使用したタイプがあります。ニクロム線を使用したタイプは、安価ですが、ヒータの寿命が短く、絶縁力が不足します。電子工作用に、特に理由が無い限り、セラミックヒータを使用したハンダゴテを選択してください。

先端(コテ先)の形状は工作する相手に合わせて選択しますが、殆どの場合、購入初期には写真の様な、とがったタイプが付属します。
コテ先は消耗品のため、交換可能なようになっていますので、先端形状を変えたい場合は別途コテ先だけ購入して交換します。
写真の様なとがったコテ先は万能タイプでほとんどの用途をこなします。

コテ先について二つの注意点があります。
1:最近のコテ先は銅の上に高耐久のメッキが施されています。ハンダの乗りが悪くなっても、決してヤスリでこすらないでください。もしヤスリで削って、中の銅が露出すると、超短時間で腐食して使えなくなります。
先端が黒くなった様な場合は、水を含ませたスポンジにこすり付けて、ハンダカスを除去します。
2:コテ先の寿命が長くなったため、コテ先を外す事が少なくなっています。いざ交換となっても、長時間の使用で、コテ先がヒータに焼き付いて取れない場合があります。定期的に、コテ先を外して、掃除しましょう。


■ハンダ
ハンダ付け重要なもう一つの道具(材料?)にハンダがあります。ハンダが道具のページにあるのは変ですが、コテとセットで使用しますので、ここで解説します。
ハンダはスズと鉛の合金で、スズと鉛の混合比で溶ける温度が変わります。電子工作用にはスズが約60%、鉛が約40%になっているハンダを使用します。さらに、ハンダ付けを行う金属の酸化膜を除去する目的でフラックスを用いますが、ハンダの中心にフラックスを入れた通称ヤニ入りハンダを主に使用します。フラックスをヤニと呼ぶのは、昔はフラックスとして松脂(まつやに)を利用していたためで、現在は科学合成です。
ヤニ入りハンダは長い線形状で、ボビンに巻かれているか、スパイラル状に巻かれて売られています。
線径は0.5ミリ程度から2ミリ程度まで市販されていますが、1ミリまたは0.8oが使いやすいので、最初はどちらかを選んでください。
購入時はフラックス入りである事も確認してください。
ボビン巻きのハンダは1Kgが多く売られていますが、もう少し少量のタイプがあれば、試しに少ない巻きを購入すれば無駄がありません。


■ハンダゴテ台
必ずしも市販品を購入する必要はありませんが、熱せられたハンダゴテを安全かつ安定に置くための台が必要になります。
瀬戸物の灰皿で代用できますが、本格的にハンダ付けを実践するのなら、専用の置き台を用意しましょう。
灰皿で代用する場合は、コテ先をクリーニングするために、濡らした雑巾を利用してください。
専用のコテ台では、スポンジが付属していますので、これに水を含ませて使用します。


その他、別々に揃える方法以外に、メーカーがセットにした、ハンダ付け用具セットがあります。必要な道具がセットになっているため、最初はそれを購入するのも良いでしょう。
セット物の注意点として、セット内にペーストが付属している場合は絶対に使用しない様にしましょう。多くの場合、ペーストには導電性があり、昨今の微小電力で動作する回路では、まともに動かなくなります。また、ペーストはハンダ付け後に除去されずに残ると、回路部品を腐食させます。