HUAWEI E5830 Mobile WiF ルーターの消費電力


HUAWEI E5830 WiFi モバイルルータの消費電力を調べてみましたので、ちょっとメモ。
なお、手持ちのE5830がここに記載している通りの状況にならなくても、当方は一切関知しません。参考程度に見てください。

E5830は動作状況で次の様な状態を持ちます。

・電源OFF ただし電源がソフトスイッチ方式のため管理回路の消費があります
・電源ONだが、3G、WiFiとも停止
・電源ONで、3Gは停止、WiFiが動作状態
・電源ONで、3G、WiFiとも動作状態、パケットが流れていない。
・電源ONで、3G、WiFiとも動作状態、パケット通信中。

大体、以上の5状態を取る様です。各状態毎の消費を知る事で、電池寿命や充電間隔の見当を付ける事ができます。
E5830に付いては今更説明の必要も無いと思いますが、一応簡単に。
WiFi Mobile routerの名前の如く、WiFi接続のルータで、WAN側に携帯網アクセス用の端末を持っています。
docomoやb-mobile,イー・モバイル、ソフトバンクなどのSIMを挿入して使用します。
(PC接続用のパケット定額に入っていないと、請求で恐ろしい目に合いそうな装置です)
一度設定を行うと、以後、ノートPCなどからWiFiを通してネット接続できため、非常に便利です。
E5830の中には、3G(携帯網側の接続)の接続を、どの時点で開始して、終わらせるかの設定があります。
一般的に、「オンデマンド」に設定する事が多い様です。
オンデマンドはパケットが発生すると3Gに接続し、5分程度(変更可能)通信が無ければ切断する仕様です。
再接続にかかる時間は1秒程度らしいので、便利な使い方です。
(携帯電話の通話と異なり、接続状態でもパケットが流れなければ通信費が発生しませんが、電池の消費が多くなります)

もう一つ、WiFiにも、無通信が続くと切断する機能があります。
こちらは、自動切断を使用せずに、電源が入っている限り、ON状態になる使い方をする方も多い様です。
ここで、疑問が出てきます。そもそもE5830はLEDの表示状態(表示色や点滅)で動作状況を表示する仕様です。
本当の消費状態は、LEDでは分かりにくく、さらに、一定時間でLEDの表示が消灯します。さらに、通常の使用状態では、LEDが全て消えています。
本当の動作モードはいったいどうなっているのか分りません。
今のままの使用法で、一日持つのか、とか、充電の頻度とか気になります。
直接動作状況を知る手段はありませんが、電池からの消費電流を測る事で推測可能です。
それに、消費が分かると、電池の持続時間も計算できます。
消費電流の測定は、E5830の電池端子と電池の間に電流計を割り込ませて測ろうと思いましたが、接続方法を思いつけなくて、直流電源に電流計を接続し、E5830の電池端子につなぐ事で行いました。

なお、E5830の電池端子は3本あり、専用バッテリ側の表示に+、−、Tの表記があります。
±は電源で良しとし、Tは温度測定用端子と推測して、Tと−間の抵抗を測定した所、9KΩ程度の値を示しました。
そのままバッテリーの温度を変化させると抵抗値も変化しますので、10KΩ(25℃)のサーミスタが入っていると思われます。
とりあえず、±に4Vの電源を接続して動作させましたが、しばらく動作した後、電源OFFになります。
どうやらT端子が開放状態では、保護回路が働く様です。
しかたないので、T端子と-端子間に10KΩの抵抗を接続したところ、動作が継続する様になりました。
最初、測定はデジタルテスタの電流レンジで行いましたが、次の様な問題で、アナログ式の電流計による測定に変更しました。
・電流レンジの大電流用は10Aで分解能は10mAでちょっと荒い。
・通常の電流レンジでは200mAが最大であり、さらに電圧降下が非常に多い。
(電圧降下はかなり深刻で、200mAくらい流れると1V以上降下します。ちなみに、このレンジで接続するとE5380が起動しません)
・表示の更新周期と消費電流の変化が非同期に発生するため、表示がバラつく。
電流測定中の写真です。この測定器で、最大の電圧降下は0.05Vです。

拡大写真でメモリを読めると思いますが、0.3Aレンジで0.11(110mA)程度に振れています。
3GがOFF状態、WiFiがON状態での消費電流になります。
測定結果は以下の通りです。
E5830のファームは 666.11.172.03.111sp02 です。
状態   消費電流  消費電力  持続時間  備考
 電源OFF  0.015mA  0.06mW  約10年  電池の自己放電の方が支配的?
 電源ON、3G、WiFiとも停止  5mA〜15mA  20mW〜60mW  93時間〜280時間  LEDが2個点灯した状態での値、たまに消費が多くなる
 電源ON、3G停止、WiFi動作  95mA〜110mA  380mW〜440mW  13時間〜15時間  LED全消灯状態、たまに消費が多くなる
 電源ON、3G、WiFiとも動作
 パケット通信なし
 180mA〜220mA  720mW〜880mW  6時間〜8時間  LED全消灯状態、たまに消費が多くなる
 電源ON、3G、WiFiとも動作
 パケット通信中
 260mA〜300mA  1040mW〜1200mW  5時間程度  LED全消灯状態
注意:
消費電流測定時のバッテリー電圧は、4V固定です。
E5830の電源回路は、スイッチング式で、電圧が下がると電流が増える、消費電力一定型と思われます。
このため、持続時間の計算は、バッテリー容量の1500mAHを消費電流で除算するのではなく、電力容量の5.6Whを消費電力で除算した値を記載しています。
ただし、電源回路の変換効率は、電源電圧の上下で変化するため、誤差を含む事になります。
持続時間の計算には、突発的な消費電流の上昇分は含まれていません。
一般的な使い方と思われる、電源ON中はWiFiがONで、必要な時に3G接続を行う場合は、何もしなければ、13時間程度待ち受け可能と計算できますが、接続があった場合は、その分だけ、持続時間が短くなります。
この使い方では、表の下3段の状態を行ったり来たりする事になります。
使用状況に付いて
母艦とノートPCとの同期用に「Dropbox」を使っています。
DropboxをインストールしたPC間は自動的にファイルが同期されて便利ですが、約90秒に一回程度、ファイル変更が発生していないかの問い合わせが発生します。
ノートPCにE5830を接続している状態では、3Gの自動切断が発生する前に、次の問い合わせパケットが発生するため、いつまで経っても、自動切断になりません。WiFi接続も同様の理由で、切れる事がありません。(WiFiは接続クアイアントが無くなるまで切れないかも?)
パケットは一瞬だけしか流れないため、上記の表、下から2段目の消費がずっと続きます。それでも、計算上は6時間程度持つ事になりますが。
また、Dropbox以外にインストールしたプログラムが定時的に発生させるパケット(windowsのネットワーク管理で発生するブロードキャストはE5830のルータ機能で破棄されて実害なし)も注意する必要がありそうです。
これらの、緊急性の無いパケットはE5830のフイルタ機能で禁止できそうですが、Dropboxは80番ポートを使用しているため、HTTPと見分けが付かず、フィルタできないのが悩みです。
まだ、インストールしていませんが、Skypeも同様の現象を起こすと思います。
発生パケットをモニタしたいので「Wireshark」をインストールしてみましたが、無線LANはキャプチャできませんでした。

そんなこんなで、E5830は電源SWでON/OFFする事にしました。それを差し引いても、便利なグッズです。

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