太陽電池で常夜灯+非常灯を作る


生活関連ネタです。停電対策用も兼ねて常夜灯を作ります。

まあ関西人と言えば、値切ってなんぼの世界。タダならなお結構。
で、手軽かつ、一応タダで使えるエネルギーとして、太陽電池で常夜灯を点けようってネタです。
太陽電池やら、もろもろの償却が...は言わない事にします。

LED用電球に使うワットクラスのLEDを使用しなくても、常夜灯なら小型照明用のLEDで十分です。それでも、そこそこ使える常夜灯が、少ない電力で実現できます。
ちなみに、この装置、3年前から実用しています。壊れる様なモノでもなく、結構重宝していましたが、2012年に引越しするのを機会に、作り変える事にしました。

コンセントに差し込む常夜灯や、懐中電灯と兼用する非常灯など、お手軽に設置できるLED灯はたくさんの種類が出回っています。
一方、住宅設備として、外部電源に頼る天井取り付け型の小型LED灯は、需要が無いのか見かけた事がありません(知らないだけか調査不足?)
今回は、家全体を網羅するため、配線を施し、設備とする事を目標とします。

白色LEDには発光寿命があります。この辺りを考慮にいれつつ、常夜灯だけでは勿体無いので、停電時の非常灯を兼用できる様に設計しました。
このページを作成したのは、関西電力の計画停電が開始された頃ですが、設計当時時はその様な話は無く、純粋に停電対策として加えた機能でした。
計画停電は、実施されなかったら、それはそれで結構ですし、雷による停電なら遭遇する可能性があります。一種、保険的な位置づけでしょうか。

白色LEDの入手ですが、電源を12Vにしたいので、3素子直列として9V程度のVfを目標とし、次の条件を満たす事で探しました。
・放射角が広い事。狭いと、LEDの直下しか明るく無く、変な照光パターンを描きます。
・できれば、最初から、3素子直列。
・なるべく青白くないもの。
見つかったのは、OSW443Z4E1Pで、実験を経て採用する事にしました。



このLEDは、通常定格が30mAです。

これを3個並列にして、定格90mAとします。実験の結果、3個で1.5mAあれば、常夜灯として十分な事がわかりました。
3個で1.5mAですので、1個のLEDには0.5mAが流れる事になります。3個も使用しなくても1個に1.5mA流しても余裕があります。ここであえて3個並列にしたのは、常夜灯以外のもう一つの用途、停電時の非常灯のためです。
非常灯として、80mA程度流すとそこそこの照明になります。

ところで、白色LEDの寿命ですが、発光体が劣化して光り方が悪くなるのが主な原因と思われます。もし発光強度に寿命がそのまま比例するのであれば、定格90mA÷実使用1.5mA=60、これに定格時の推定寿命5万時間を乗算した300万時間が1.5mAにおける寿命と想定できます。
一日12時間点灯するとして600年以上の寿命と計算できます。実際これほど持たないとしても、当分の間、(もしかしたら一生)交換が必要ないかも知れません。

次に常夜灯と非常灯の切り替え方法です。常夜灯に関しては目標値は1.5mAですが、設置場所によっては可変したいと思い、半固定抵抗で調整可能としました。固定で良ければ抵抗のみか、CRDを入れる方法があります。
ある程度、恒久的に使用できるものを作りたかったので、実用に耐える回路方式を検討しました。
初期段階では、PICを使用したPWM制御としADコンバータにボリュームを接続して調整する方式としました(後にボリュームを赤外線リモコンに置き換えたタイプも作ってみました)
しかしPWMは電流変化が激しいため、一本の電源線に複数の照明を付けると、PWMの周波数差がそのままビートとなって、照明がゆっくり明るくなったり暗くなったりします。
これは実験用としては良いのですが、毎日使用するとなるとちょと問題です。結局昔ながらのアナログ式の定電流回路としました。
なお、電源周りを強化すると、PWMのビートは防ぐ事ができますが、目的の割には規模が大きくなり止めました。

非常灯に関しては、最大点灯時に定電流の制御領域を外れて、FETがON領域のまま固定される様にし、電流検出抵抗を、LEDの制限抵抗と兼用になるようにしました。
適当に入手可能な抵抗値で製作したため、非常灯の電流は実測70mA程度となっています。ただし、定電流の制御領域を外れていますので、電源電圧の変動が、そのまま電流の差となって現れます。まあ、絶対的に一定値を保たなければならない用途でもないの良しとします。
一方、常夜灯は7mA程度まで可変できる、定電流回路として機能します。

LED常夜灯+非常灯回路図
CTRL端子は、常夜灯と非常灯を切り替える端子です。この端子を12Vと共通に接続すると、非常灯としてフル発光します。
非常灯停止と書かれたジャンパーは、非常灯としての機能を使わない(今回20個設置しましたが、5個分のみ非常灯兼用)場合に短絡させます。
OPアンプによる定電流回路とし、種類の多い2chタイプから選択しました。

選定条件は、12Vバッテリーが直接使える、16V以上の耐圧、それに消費電流が少ないタイプ。
スルーレートは遅くてもまったく問題がありませんが、フィードバック時の安定性確保に余計な部品が必要無い事も重要です。

消費電流ですが、例えば汎用のNJM4558の平均電流は3.5mAとなっています。なんと、点灯予定のLED消費電流を超えています。
多少の電流の無駄は仕方ないとしても、ちょっと多すぎます。
入手性も含めると以外に選択肢が無く、NJU7062Dが条件をクリアしました。

消費電流は1回路当り0.15mAで2回路入りですので、0.3mAとなるハズですが、今回の使い方では、1回路分は能動領域を外れて停止しているらしく、パッケージ全体で0.13mAとなりました(実測ですので、個体差はあります)
定電流回路の検出抵抗は33Ω。LEDのバランス用に各10Ωを入れました。このため、定電流制御を外れた非常灯状態では12V-9.3V(電源電圧-LEDのVf)を36.3Ωで割った値、約74mAがLEDに流れる計算になります。
この電流値は、電源電圧とLEDのVfに依存します。


実際に設置した天井付近の写真です。
  
左から、周囲が明るい状態で撮影、常夜灯のみでの撮影、発光のアップ写真です。
ためしに、こ常夜灯を切断してみて、本当の暗闇を経験してみましたが、何も見えないのと、ほのかな明かりとは言え、周辺が見えるのでは、雲泥の差がある事がわかりました。
(分かっていても、いきなり本当の暗闇になるのは、ちょっと心臓に悪いです。都会では一斉に停電でもしない限り、真っ暗になる事はないでしょうけど、田舎だと本当の暗闇になります)

家全体で20個設置しました。それでも1.7mA×20個=34mA、消費電力はこれに12Vを掛け算して、408mWとLEDタイプのナツメ球0.5W一個分より少なくなっています。ちなみに、一般的なフィラメントタイプのナツメ球は5Wです。
フィラメントタイプのナツメ球は消費も多い分、それなりに明るいですが、寝るには明るすぎます(個人差はあると思いますが)

1.7mAはLEDの点灯分に、OPアンプの消費を加えた、一個当たりの、実際の消費電流です。

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