太陽電池で常夜灯+非常灯を作る


太陽電池からバッテリーを充電する回路、夜間の点灯制御、停電検出を行います。


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このパートは太陽電池を使用したLED常夜灯+非常灯の充電制御、点灯制御、停電検出の製作編です。基本解説はこちらを参照してください。

太陽電池とバッテリー

・太陽電池からのバッテリー充電するコントローラ
常夜灯+非常灯の電源は昼間、太陽電池からの電力を鉛バッテリーに充電して、夜間に使用します。

鉛充電の充電には、充電コントローラが必要です。
鉛電池の充電は、一定値以上に充電電流が流れない電流リミッタと、電圧を一定に保つ、定電圧回路の機能が必要になります。
太陽電池を電源に使う場合、原理上、太陽電池の定格以上の電流は流れません(流れる最大値は、短絡電流Iscの項目です)
そのため、必要な機能は、定電圧機能だけです。
*注意:鉛電池には、その電池毎に決められている最大充電電流があります。太陽電池の能力が鉛電池の最大充電電流を超えている場合、何らの電流制限が無いと、電池を破損させてしまう恐れがあります。

鉛電池の充電コントロールには、自作以外に市販のソーラー専用コントローラ(簡易型)を使用する事もできます。最近は高性能な割りに安価になって来ています。
*注意:夜間スイッチの項目も参照してください。

今回は使用電力も小さいので、LM317Tを使用して、製作しました。
LM317は、可変型の三端子タイプのレギュレータで、最大電流1.5A程度の定電圧回路が作れます。
入出力間に3V程度の電圧が必要なため、12Vバッテリーには17V以上の出力を持った太陽電池が必要です。



LM317には、充電電流(太陽電池の大きさ)に見合った放熱板が必要です。
バッテリー接続端子から左側が、LM317による定電圧回路です。バッテリーより右側の回路は、暗くなると出力をONにする回路です。

次の手順で、LM317の電圧調整を行います。
バッテリーの代わりに220Ω1W以上の抵抗を接続します。
太陽電池の代わりに18Vの直流電源を接続します。無ければ太陽電池そのもを接続してください(調整時には太陽が出ている必要があります)
電圧計で220Ωの電圧を測り、14.0Vになる様、1KΩの半固定抵抗を調整します。
電圧設定が終われば、バッテリーを接続してもOKですが、すべての配線が終わった後に接続した方が無難です。
*注意:回路図中の2Aヒューズは基板の上に実装するのではなく、バッテリーへの接続コードの途中に入れてください。
基板上にヒューズを実装した場合、基板上のバッテリー接続端でショートさせると、保護手段が無い事になります。
また論理回路(TC4584)の電源にもヒューズを入れてください。バッテリーに入れた2Aでは、論理素子用には大きすぎます。CMOS・ICは雷などの誘導でラッチアップ現象を起こします。この際、安全に回路を遮断するためには、0.1A〜0.2A程度のヒューズが必要です。

・バッテリーの容量
バッテリーには12V/8AHのシールタイプの鉛電池を使用しました。
容量ですが、LEDライトの定格消費電流の20日分として計算しました。

定格消費電流を1.7mA、設置個数が20個、動作時間を12時間、持続日数20日とすると、1.7mA×20個×12時間×20日=8160[mAH]と計算されます。
市販品の鉛電池(シールバッテリー)の容量で近いものが8AHでした。
少し容量不足ですが、満充電なら19日程度は動き続ける事になります。

次にソーラパネルですが、10日分の消費量を1日で充電可能なら、殆どの気象条件でも、電力供給ができると考えられます。
10日分の容量は、先の計算の半分ですから、4080mAH。日照時間が6時間とすると4080÷6で680mA出力の太陽電池が理想となります。

手持ちの関係で220mA出力と少々不足ぎみのの太陽電池を使用しましたが、極端な悪天候に出会わなかったらしく、とりあえず途切れる事なく、照明できています。
ちなみに、220mAの出力で6時間充電した場合は220mA×6÷(1.7mA×20個)で38時間分、約3日分の電力になります。
悪天候でまったく充電されない日が4日続くと、その晩は点灯しない事になる計算ですが、まったく充電されないほど、悪天候が続く事はまれなので、何とかなっていると思われます。

・夜間スイッチ
太陽電池+充電コントローラ+バッテリーの他に、暗くなると、出力をONにする回路が必要です。
これは、自作するしかないと思います(探せば市販品もあるかも?)
構成は単純で、太陽電池の電圧をコンパレータIC、TC4584で比較して、出力に繋いだFETをコントロールするだけです。
FETは非常灯の場合でも十分な供給量を確保するため25Aタイプの2SK2232を使用しました。
(回路図は上の充電コントロールの右側部分です)

市販品のコントローラでも、出力端子の後ろに夜間スイッチ部分の回路を付ければON・OFFできるかも知れませんが、充電コントローラがマイナス側で充電制御を行っているタイプの場合、おかしな動きになります(最悪TC4584が破損します)
この場合は、cdsで明るさを検出する方が簡単です。
こんな感じの回路でしょうか(未実験です)




・停電検出
今回の常夜灯は、商用電源と一切関係の無いところで動作させます。
最近流行の言葉で言うと、オフグリッド動作です。
しかし、非常灯となると、話は別で、停電を検出して、常夜灯を非常灯に切り替えなければなりません。
無停電電源装置(UPS)の様に瞬断が許されない場合はそれなりの停電検出機構が必要ですが、非常灯なので、簡易的な方法で十分です。
これには、商用電源が入っている間リレーを入れぱなしにし、停電でリレーがOFFになるのを利用するのが簡単です。
しかし、めったに無い停電(関電管内はあやしい?、このページは作っている時点では計画停電はしていません)のため、リレーを入れたままにするのは、精神衛生上、よろしくありません。
今回は、夜間点灯用の蓄電池からのエネルギーで、停電検出回路を動作させ、停電時にのみ、リレーが入る(商用電源が来てる間はリレーが入らない)方式としました。


この機構も単純で、AC100Vからトランスで6V程度に下げた後、直流にしてトランジスタのベースを駆動します。
12Vが供給されるとリレーが入る回路を別にトランジスタで作成して、先のトランジスタのコレクタで、この回路のベースを短絡させて、リレーが入るのを止めておきます。
停電すると、ベースを短絡させる回路が無くなるのリレーがONします。
リレーには、省電力タイプのG5V-1のDC12Vを使用しました。動作電力は150mWです。
トランスは3V〜15V位に下げれば良いので、適当なものでかまいません。電力も殆ど必要ないので、小型のもので十分です。
回路図にある二次電圧が6,3Vのものは、制御盤に使うパイロットランプ用のトランスを流用しました。
小型では、二次電圧が13VのPF0501(大阪高波)良いですが、販売店が限られるかも知れません。

回路図中、平滑用コンデンサ(Cx)、放電用ダミー抵抗(RL)、ベース制限抵抗(Rb)は使用するトランスの電圧で変更する必要があります。
停電検出では、AC100Vを引き込む必要があります。自信の無い方は、トランスの代わりにスイッチング式のACアダプタを使用しても良いと思います(トランス式の非安定タイプのACアダプタは、整流回路のコンデンサが大きいため、ダミー抵抗を相当低くしないと、停電してから、非常灯が点くまで時間がかかります)

・トータル配線
太陽電池と充電制御、蓄電池は、屋外設置としました(当然、防水が必要)
一方、停電検出回路は、配線のどこにあっても問題ないため、AC100Vのコンセント近くに設置しました。