■HC

■HCはCMOS・IC

昔、TTL・ICと呼ばれるデジタル系のICがありました。
このICは7400等の先頭が74で始まり、後ろが型番を示す2桁か3桁の番号がつけられていました。この74シリーズは論理ICとして、広く使用されたため、素子の構成がバイポーラトランジスタ(TTLはバイポーラトランジスタで構成されていた)からCMOSに変化した際も、このICの論理構成、足配置、型番をそのまま利用しました。例えば7400のHCタイプは74HC00の型番が付きました。置き換えを考慮して作られ、ほとんど場合、TTL・ICをそのままHCタイプに交換できます。
同じCMOSでも、4000シリーズとの違いは動作速度、電源電圧範囲と、足配置、それに出力電流(ドライブ能力)の差にあります。HCタイプの出力は4000シリーズに比べれば非常に強力と言えます。HCも同じCMOSの仲間ですので、論理が変化しない場合は、漏れ電流以外の電流消費はありません。

HCを原型として、ACやABTと呼ばれる、高速動作用ICが出ています。
また、HCタイプのICがTTLの置き換えを目指したため、動作電源電圧が2V〜6Vと広範囲であるにもかかわらず、本来の高速動作が得られる、5Vでの使用がメインになります。一方、論理素子(CPU等)の設計ルールが微細化されて、素子の動作電圧が低い方向に、動作速度が高速な方にシフトしています。

100MHzを超える高速バスを持つシステムの論理電圧は3.3Vや3V、さらにそれ以下になっています。合わせて論理ICの動作電圧と速度も変化しました。

高速、低電圧化したロジック用ICには、昔の様な論理素子(ANDやOR、カウンタ)が殆どラインナップされていません。用途の中心が高速バスの切り替えやドライバとなったためで、昔の型番のICは少なく、新たな5桁、6桁の番号が付いたまったく別なICになっています。

ちなみに、論理素子はASICの中に吸収され、個別の論理ICを組み合わせて回路を作ることは殆ど行われなくなりました。