■NPN吸い込み型オープンコレクタドライバ

設計時はドライブ入力に流す事が出来る電流とドライブ出力に必要な電流から回路を選択します。100mA程度までの汎用小信号トランジスタでドライブする場合は、トランジスタの増幅率を大まかに100として計算します。
例えば、CMOSの出力からLEDを点灯させたいとします。CMOSから0.25mAの電流が取り出せるとすると、100倍すると25mAになるので、1段のトランジスタで構成すると25mAまで流すドライバが出来あがります。LEDのドライブにはこれで十分ですが、80mA必要なリレーをドライブするには不足です。


トランジスタが一石だけのドライバの基本回路です。
R1の値としてドライブ電圧と電流を使ってR1=E/Iで計算します。
12V動作のCMOSを例にして、E=12V、I=0.25mAとすると、R=12/0.00025から48KΩと計算されます。近似値の47KをR1の値とします。R2はCMOSの様なH側にもL側にも出力できる素子の場合は不用ですが、汎用として使用するのであればR1と同程度の値を挿入します。

ドライバの出力に多くの電流が必要な場合はトランジスタを二段にして増幅率を上昇させます。一段分を100と計算すると二段分では100×100で10000倍の増幅率になります。R1,R2の考え方は一段式と同じですが、トランジスタのベース、エミッタ間には必ず0.7V程度の電圧降下が発生します。この回路では二段分の1.2Vの電圧降下が発生するためこの分を最初からドライブ電圧から差し引いて計算します。5Vでドライブする場合は5V-1.2V=3.8Vがドライブする電圧として計算します。R3はR2と同程度で良いでしょう。
この回路の利点は一段式と同じ考え方で二段構成に出来る点ですが、一方、出力段は流す電流にかかわらず、0.7Vの電圧降下が発生します(ダーリントン接続の宿命)


一段目と二段目を別の増幅器として構成すると出力の固定的な0.7Vの電圧降下は発生しなくなります。
R1,R2の計算は同じですが、二段目に流れるベース電流をR4で設定しなければなりません。
回路用の電源が5Vとして、二段目のトランジスタのベースに10mAの電流を流す場合を例にするとR4=5/0.01で500Ωと計算できますので500Ω以下の470ΩをR4の値とします。


CMOSでLED(発光ダイオード)を光らせる場合のドライバ回路の具体的な例です。
CMOSの出力の様に直接LEDを光らせるには無理がある場合(HCタイプなら直接駆動できる)に使用します。


消費電流の多いリレーを駆動する回路です。
一般的な電子回路用リレーでは5V用で80mA程度の電流を必要としますので、トランジスタが二段になっています。

リレーはコイルとなっていますので、キックバックを吸収するためのダイオード(D)を必ず挿入します。


ソレノドは誘導性負荷で消費電流の大きな部品です。
この回路ではソレノイドを駆動するトランジスタに電流の大きなタイプを使用しなければなりませんが5A程度まではこの回路で駆動できます。また誘導性の負荷なので、ソレノイドの電流に合ったダイオード(D)またはバリスタの様な過電圧吸収素子が必要です。