■コイル

(インダクタ)

コイルは電気と磁気を相互に変換できる素子です。磁気状態でエネルギーを貯える働きがあります。電気回路では抵抗コンデンサと共に重要な部品です。


値の読み方 並列、直列接続の計算法 値の系列


コイルはぐるぐる巻いたもの指す言葉です。またインダクタは誘導と訳されますが、コイル自体の性質を表わす言葉として利用され、コイルの場合は誘導性、コンデンサは容量性と呼ばれます。 コイル自体は単純な機構で磁性体やボビンの周りに電線を巻き付けただけです。ただ機構は単純ですが、利用目的でこれほど種類の多い部品もめずらしいでしょう。言い換えると、これ一種類で全てをまかなえる様な理想のコイルはなく、利用目的毎に特化した、いろいろな種類が存在します。

一つのボビン(コアと呼ぶ場合もあります)に複数のコイルを巻いた部品をインダクタとは区別してトランス(トランスフォーマー)と呼びます。

電子工作では、電源用のトランスを別として、コイルはあまり歓迎されません(入手性や重量、体積)できれば避けて通りたいたいところですが、利用しないと実現しない回路もあります。特に小型スイッチング電源を製作する場合に必要です。

比較的利用されているコイル(トランス)には、マイクロインダクタ空芯コイルIFTトロイダルコア(電源用)等があります。

コイルに電流を流すと磁力が発生します(別にコイルでなくても電線に電流を流すと磁力が発生する)この時発生する磁力の変化が逆に自分自身のコイルに電圧を発生させ、電流を流させない様に働きます。

結果としてコイルに電圧を加えた瞬間は電流が流れず、時間の経過と共に電流が増加していきます。もしコイルに抵抗分が無ければ、無限に増加していく事になります。

また、一定の電流がコイルに流れていた場合、この電流を変化させようとすると、電流の変化をなるべくさせない方向にコイルの両端の電圧が変化します。

例えば、リレーは殆どコイルの様な物ですが、動作中のリレーをOFFにする(コイル電流を切る)と元の電流が流れていた向きに、元と同じ電流を流すべく電圧が発生します。もしスイッチの様な突然電流が0になる様な切り方をした場合、理論的にはコイル両端の電圧は無限大になります。実際にはコイルにはコンデンサ成分もあるため、有限の電圧になりますが、それでもかなり高い電圧になります。リレー等の誘導性負荷をトランジスタの様な素子でドライブする場合は切断時の高圧(キックバックと呼ばれている)を発生させない工夫が必要です。

この様なコイルの性質を憶える場合は「コイルは、あまのじゃく」と憶えてください。電流を増やそうとすると増やさない様に、減らそうとすると減らさない様に、動作します。